娯楽は学ぶものじゃない

140字では足りないときに

まごうことなき灰原哀の物語

日々のツイートが"マジ"と"ヤバい"と"美味い"のみで構成されてることに気付き恐怖を覚えたので文章力アップと備忘録もかねて今年こそ映画感想残した~い!と意気込んではや4ヶ月。この記事も公開初日に観たのに2週間かかる脳の死にぶり。

名探偵コナン 黒鉄の魚影サブマリン」(2023)

あらすじ

八丈島へいつメンとホエールウォッチングに来ていたコナンは、赤井から電話で黒の組織がユーロポールに侵入したという情報を聞き、警視庁の白鳥警部と黒田管理官が乗った警備艇へこっそりと乗り込む。行き先はいかにも爆発しそうな世界各国の防犯カメラを統合する為のインターポールの海洋施設、パシフィック・ブイ。施設の案内のさなか、職員であるエンジニアの一人、直美・アルジェントが黒の組織に拉致されてしまう。さらに宮野志保が生きている可能性を疑われ、灰原までも…!コナンは灰原と直美を救い出せるのか。そしてインターポールの威信をかけたパシフィック・ブイは爆発の運命を逃れられるのだろうか?

感想

春の恒例行事、劇場版名探偵コナンの第26作。近年の劇コナって本当に安室・赤井・キッド・大阪・黒の組織で回してるんですねえ。大倉⇔櫻井の脚本ローテーションも安定ですね。

というわけで、2013年に櫻井が「絶海の探偵」で初登板してから、櫻井脚本で初めてキャラクターが生きている、はやや言い過ぎだが"死んでいない"と思ったのは今作が初めてなのでした。アニメールを読んだのは鑑賞後だが、立川監督が"感情で動かしたい"と繰り返していたのでその影響もありそうだ。

櫻井の描く誇りを持って働く公務員ズ(今回なら局長か)は面白いし、ジョディ先生やキールなんかは原作より好きだが、テーマテーマってそんな口に出すもんじゃないよと思うし、社会派って実はコナンと相性良くないよね。

ただ今回は灰原哀に始まり灰原哀に帰結する軸の強さのおかげで、テーマ(い、いらね~。台詞で言わすな恥ずかしいから)もギリギリそこに乗っけれてた。灰原への興が冷めた今の自分が観ても、彼女のこれまでの人生とか変化を想って感動できたことに感動してしまった。やはり"コナン(子供)の証言を信じない大人たち"というシナリオの駒すぎる場面もあるが。この期に及んで佐藤さんが信じないとは思えんが、もしかして高木がいなかったのって奴なら信じてしまいそうだからか?と2回目鑑賞時に思った。

組織回だがなんとなくスカッとした気分になれた理由としては事件発生→犯人探しをちゃんとやってくれたからかと感じる。「瞳の中の暗殺者」の"容疑者判明"のようなカット大好きなので助かった。

しかしピンガ勿体ないよ。風見や大岡紅葉など映画キャラの逆輸入も普通になっていたので、組織キャラもそろそろありでは?と思っていたら…。①映画に見合ったピンチを用意しつつ②黒の組織の強敵感を損なわないまま③映画内のみで完結させるのもそろそろ苦しいのでは。サンデー編集部他お偉方は今後のためにも原作を早急に完結させることをおすすめします。

<監督・立川譲 脚本・櫻井武晴 音楽・菅野祐悟 2023年製作/109分>